私たちが生きる社会をより生きやすいものにするため、共に学び考えましょう。

福祉学科 篠崎ひかる助教(犯罪をした人への支援、ソーシャルワーク)

2023/07/25

教員

研究内容

私は大学院生の頃から、刑務所出所者をはじめとする犯罪をした人たちが地域で生活する上での困りごとに対して、ソーシャルワークの視点からどのようにアプローチできるかを研究してきました。現在は、本人と社会の関係に着目し、ソーシャルワークの倫理や価値の観点から、当事者が主体的に選択・決定できるような支援とはどのようなものなのかをテーマに研究を進めています。
これまでの研究では、当事者の直面する貧困や障害、疾病といった「生きづらさ」を背景に犯罪をする人たちの存在が明らかにされてきました。これに対するアプローチとしては、犯罪をした人が犯罪以外の選択肢を選べるような社会を作ることが必要になりますが、今の社会には、犯罪をした人に対する無意識的な不安や抵抗感といったものからインターネットでの個人情報の書き込みや嫌がらせといったような意識的に社会への参加を阻むような差別まで存在しています。このような状況を踏まえると、本人に対する働きかけを行うだけでは十分ではなく、本人が生活していく社会に対する働きかけも重要となります。
ソーシャルワークでは、ミクロ・メゾ・マクロというレベルで実践が行われますが、犯罪をした人の地域生活を支援していく上でも、マクロ・ソーシャルワーク的な視点から課題にアプローチしていくことが必要不可欠です。現在は上記の問題意識に基づき、刑務所出所者をはじめとする犯罪をした人たちに対して、ソーシャルワークの基盤となる倫理や価値を踏まえ、当事者が選択・決定できるような支援について研究を進めています。

学部での教育活動

現在担当している科目は、講義科目である「ソーシャルワークの理論と方法3」とソーシャルワーク実習に向けた演習系科目(「ソーシャルワーク演習」、「ソーシャルワーク実習指導」など)があります。講義科目では、現代の複合化している生活課題について、地域の社会資源を活用しながらソーシャルワーカーがどのように働きかけていくことができるのか、ソーシャルワークの技法や支援の実際について学びます。講義科目とはいっても、一方的に教員の話を聞くだけではなく、映像資料を用いたり、グループで事例検討を行ったりして学生自身が意見交換しながら学びを深められるよう工夫しています。
演習系科目においては、社会福祉の現場で240時間以上の実習を行う「ソーシャルワーク実習」に向けて、各講義科目で学んだ知識をどのように実践に活用するのかを体験的に学びます。実習に向けて、当事者理解、利用者の生活における実習先の役割等について十分に事前学習を行うことで、実習先での実践から学びを深めることができると考えています。そのため、ロールプレイやアセスメントシートの作成といったグループ学習が中心の授業ではありますが、演習にあたっては、授業で学んだ知識を活用し実践と振り返りを行えるよう意識しています。具体的には、各機関の役割や制度的な位置づけ、専門職としての実践とはどのようなものかなど、これまで学んだ知識を学生同士で共有、説明しあいながらグループワークを行うこと、そして毎回の授業終わりには、学生一人ひとりがその実践を言語化して振り返りを行うようにしています。

受験生へのメッセージ

誰もが尊厳をもって暮らせる社会が目指される一方で、私たちの周りには様々な生活課題が存在しています。みなさんも日々の生活を送る中で、そのような現実と出会ったり、自分で体験したりすることがあると思います。
コミュニティ福祉学部では、そのような私たちの身近な生活の中に存在する福祉的な課題をどのように捉え、それに対し行動していくことができるのかを皆で学び、考えます。異なる環境や文化の中で生まれ育ち、様々な考えや立場にいる人たちで構成される社会において、これらの生活課題を解決するのは容易ではありません。答えがすぐに出るような単純な問題ではないからこそ、多くの友人や様々な専門性を持つ教員と学び、考え続けることが重要だと考えています。みなさんが大学で学んだ福祉的な視点は、大学を卒業した後も、私たちの毎日の生活をよりよいものにするための手がかりとなるはずです。みなさんのコミュニティ福祉学部での学びが、私たちの今生きている社会をより生きやすいものに変えていく力になればうれしいです。
※インタビュー当時の情報です。

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