演習・卒業論文コミュニティ政策学科
演習内容
コミュニティ学専修・政策学専修ではそれぞれ、多彩なテーマからなる「コミュニティ学演習」「政策学演習」が開講されています。3年次に自らの問題関心に沿って所属するゼミを選択し、特定のテーマについて専門的研究を行う教員の指導のもと、問題関心をともにするゼミ生と一緒に現地調査(フィールドワーク)や文献調査を行います。4年次では、自ら研究テーマを定めて調査研究を行い、卒業論文または演習論文を作成することが最大の目標となります。
コミュニティ学演習の例
「持続可能な福祉コミュニティ」をテーマに、有機農業が盛んな埼玉県比企郡小川町で活動します。地域の有機農業を手伝うことも大切な活動のひとつ。春は田植え、夏は雑草とり、秋は稲刈りを体験し農業の直面する課題や、農業を活用した地域活性化について話しあいます。また、地元企業と協力して、地域課題の解決に向けて住民と一緒に考える仕組みづくりの準備を進めています。さらに、地元の高校生と小川町の未来について語りあい、小川町議会議員や副町長に提案します。人と人、人と自然、過去や未来と今の「つながり」を紡ぎなおすことによる地域活性化が目標です。
「都市・東京の社会学」をテーマに、都市社会学や地域社会学の基本知識を身につけ、都市化の影響がどのように現れるのか、具体的な現場=フィールドに出て学びます。2023年度は新宿・大久保地区を対象に、現地で活動する市民グループの案内で観察調査を行いました。現在では「コリアンタウン」として知られ、休日には多くの観光客が訪れる大久保地区ですが、軒を連ねる多様なエスニック・ビジネスや路地裏の住宅地を注意深く観察しながら歩いてみると、地域のもつ多面性と、その背後にある都市開発、人の移動の歴史的な重なりが見えてきます。都市空間におけるコミュニティ形成を考える上での難しさと面白さが詰まった場所を、一緒に歩いてみませんか?
主に地方都市や農山村をフィールドに、地域のコミュニティをデザインすることをテーマとしています。それは「学生の私」が触媒となって、地域に新しい関係をもたらすことを意味します。例えば、長野県佐久穂町ではゼミ生がリノベーションをした古い建築物でイベントを開催することで、住民が地域の歴史や建築に目を向けるようになり、現在では街並み保全の動きにつながっています。長野県岡谷市では、あまり使われていなかった公園で、学生の視点からアートや食に関するアクティビティを実験的に展開し、行政に対して公園における新しい人と人の関わり方を提案しています。
- 国内外の貧困問題と生活困窮者支援
- グローバルな社会問題と国際NGOの活動
- 災害・復興支援とコミュニティ
- リノベーションとシェアによる公共空間の形成
政策学演習の例
このゼミでは、地域再生に取り組む都市自治体や農山村を対象に、地方自治の観点から市民、行政、企業の各取り組みにアプローチし、協働関係が促進される要因や活性化につながる条件を考えます。自治体の権限・財源に大きな違いはないにもかかわらず、その成果には大きな差が生まれるのはなぜなのか、どうしたら地域にとって望ましい成果が得られるのかを理論と実践の両面から学びます。文献で基本的な知識を学びつつ、実際に現地視察を実施し、毎年全国大学政策フォーラム(登別市)に参加したり、自治体の政策提案事業にチャレンジしたりすることで、具体的な提案能力を身につけます。
働き方や家族のかたちが変化するなかで人々が安心して暮らせる社会をつくるには、どのような仕組みと仕掛けが必要かを考えます。外国の事例も参考にしながら、働き方や仕事、家族にまつわる制度や政策とそれらがつくられる過程について学びます。政策がつくられる過程には、議員や行政職員、NPO、民間企業など多様な主体が関わりますが、私たち市民の声はどう届けることができるのかを探ります。2023 年度は「男性の育休取得の推進」をテーマに取り上げ、文献で基本的な知識を身につけながら、取り組みを進める企業の話を聞き、最終的に埼玉県知事への政策提言に臨みました。
- 公共サービスの提供と民主的な地域づくり
- 地方自治体と市民による地域共生社会づくり
- 社会的排除問題に関わる社会的企業
- 労働・家族・社会保障を巡る政策研究
- 自治体政策と地域協働・地域再生
- 生きづらさを乗り越えるための市民自治の試み
卒業論文
卒業論文は、本学での学修の集大成として執筆されるものです。コミュニティ政策学科での専門教育、大学内外のフィールドでの実践的な学び、4年次の演習を基盤とした各自の探究の成果を振り返り、その社会的・学問的な意義を踏まえて、論理的・実証的な文章として書き上げる体験は、他の科目では得難いものになります。
- 高齢者の地域内移動における快適性向上のための公共交通の方策について
- 「野毛らしさ」の生産と消費ー横浜・野毛エリアの観光社会学的考察ー
- 公共空間における排除と包摂—包摂的公共空間の実現を目指して—
- コミュニティを形成する都市祭礼—浦安三社例大祭を事例として—
- 地方圏と大都市圏の雇用における格差が若者のキャリア形成に与える影響—茨城県県西地区を事例に—
- 現代の日本都市が求めるサードプレイス的機能を果たす公共空間の条件—ヤン・ゲールの12の質的基準の観点からー
- 学習支援教室についての考察——どのような支援が求められているのか——
- 市街地再開発による地域アイデンティティへの影響についての考察~石神井公園駅市街地再開発を事例として~
- コロナ時代の大学生活から考える友人関係に関する考察ー難しくて複雑な友だちづくりー
- 地域共生社会の実現と若年層との関わりー千葉県松戸市明第2西地区の事例研究ー
- 秋田県横手市を持続可能なまちにするためには~発酵文化を主体としたまちづくり~
- 新座市周辺及び大田区の子ども食堂についての調査と考察
- 障害者の「質を伴う労働権」の回復—「雇用」と「福祉」の壁を乗り越えるソーシャルファームの実践現場をとおして—
- 住民主体の移動・外出支援サービスにおける重要なポイントについて~北海道における新しい総合事業の事例より~
- 社会増加に成功した自治体の分類及び考察
- 日立鉱山の社宅・福利厚生・まちづくりの比較
- 地域包括ケアシステムにおける互助の再検討~小地域福祉活動に倣う互助の新たな定義の必要性について~
- 若者の参加促進事業の実態と意義ー川崎ワカモノ未来PROJECTを事例に考察するー
- 「生きづらさ」の考察と「居場所」の関連性
- 生活保護行政における「消極的運用」の改善に向けた一考察-ケースワーカーに着目しての検討-
- 社会的就労を支える政策の検討ーー3つの政策の課題からーー
- 食料分配制度の見直しを通した食料問題の改善
- クルド人からみる難民問題と入管問題—今後の多文化共生のあり方とは—
- 横浜市におけるウクライナ避難民支援の現状と課題ーワルシャワ市の支援との比較からー
- リゾート化する浦安の都市景観
- 人倫体系の検証と応用:孤独・孤立対策から社会正義へ
- 日本における難民問題
- 中国とカンボジアにおける人身売買の構造的要因と社会への影響
- 地域活性化のためのスポーツコミュニティー埼玉県富士見市と京都府福知山市のたんぼラグビーを事例としてー
- インドの教育格差について
- モラルハラスメント加害者背景の新たな視点——発達障害との関連性