学生が聴く!コミュニティ政策学科教員座談会

Webマガジン「キャリマガ!」Voice2

2023/12/02

キャリア支援・国際交流

OVERVIEW

この企画では、「コミ福の、会いたい人に会いに行く」をコンセプトに、コミュニティ福祉学部に縁のある方々の声を取り挙げます。
学部の特徴や魅力を、高校生や在学生、卒業生のみなさまに発信していきます!

記念すべき第2号は、「キャリマガ!編集員が会いたい人に会いにいく」をテーマに、コミュニティ政策学科の上林 陽治先生、権 安理先生、原田 峻先生、武者 忠彦先生の4名に対談形式でお話しいただきました。

はじめに自己紹介をお願いします!ご自身の研究を表現する#(ハッシュタグ)も教えてください。

上林先生:
実務の世界出身の者で、あまり専門分野は持ち合わせていないのですが、労働社会学や公共政策学が比較的近いのではないかと思っています。
#地方自治体 #多様性・多文化共生 #福祉のちゃぶ台返し

権先生:
専門は公共哲学と公共空間論で、最古のルーツを持つ学問と最新の学問の双方なのかなって自分では思っています。
#公共デザイン #リノベーション #シェア

原田先生:
僕の専門は社会学、中でも地域社会学やNPO論で、東日本大震災後の避難者支援やNPO法をめぐる市民参加について研究しています。
#社会学 #災害・復興支援 #NPO

武者先生:
僕の専門は人文地理学で、基本的には「なぜ、ここに、それがあるのか」ということを突き詰める学問です。
#まちづくり #地方都市と農山村 #場所のリノベーション

お互いの印象について教えてください。

左:上林 陽治先生、右:原田 峻先生

上林先生:
権先生には、とにかく学生に好かれてるなっていう印象と、いつも何か撮影しているという印象がありますね。それから学期ごとに先生方や職員で懇親会を開くのですが、その幹事役を常にやっていただいていて、すごく面白いんです。なかなかアイデアマンだなとか、いろんな面をいつも印象づけられています。

以前、「武者」という苗字の住民がいる場所が新潟県の高田にあるという話を読んだことがあり、武者先生に「高田のご出身ですか?」と聞きました。すると、「違います」だけでは終わらず、どんどん話が展開されるんですよ。さすが人文地理学の学者だなとすごく感心したことがあり、なにか調べるのがたぶんお好きなんだろうなっていう印象を持っています。

原田峻先生は、大変コミュ力の高い人だなという印象です。廊下ですれ違うと、必ず峻先生の方から声がかかるんです。ちょっとした関わりさえも大事にしていく人だなっていうことをつくづく感じています。声をかけてもらうと、それだけで「今日はもしかしていい日かもしれない」と思ったり。本当に見習わなきゃいけないなと思っています。今後ともよろしくお願いします(笑)。

左:武者 忠彦先生、右:権 安理先生

権先生:
3人の先生に共通して、すごく頭のいい方々だなと思っています。
武者先生は人文地理学者で、僕のような地理大好き人間からすると、「おお!すごいな」って思っちゃうんですね。そういった、文系の中でもガチッとした領域を研究されている先生が、一緒に飲みに行ったときとかに、同じような悩みを抱えていたりすることを知って、すごくほっとしたことがあります。

上林先生には、本当に芯がある先生だなという印象があります。どんなことにも自分の信念を持って対処してる方だと。これは僕にないところなので、すごく羨ましいですね。他方で、初めてお会いしたときに自己紹介でギャグを言ってくれて、ビシッと芯がある中にも優しい一面も持ち合わせている方だなと思いました。

原田先生と初めて会ったのは、先生が大学院生のときだったと思いますが、復興支援のお仕事のときに、6畳で雑魚寝もしたことがある仲です。とにかく議論の交通整理が得意な方です。大学の仕事で意見がまとまらないようなときに、議論をきれいに整理したり、論点を分かりやすくしてくれたり。一家に一台必要な存在です。
原田先生:
権先生はコミ福の先生の中で1番付き合いが古く、最初にお会いしたのは15年ほど前です。コミ政の助教として再会して、復興支援室の活動でご一緒したりして、今もこうして同じ学科でお仕事して、僕の中で同志だと思っています。権先生の印象は、学生から人気がありますよね。専門である公共哲学は学生からすると抽象的な内容だと思いますが、上手にかみ砕いて、魅力あるテーマとしてゼミ運営をされている姿がとても勉強になっています。

武者先生がご専門とされている人文地理学は、コミ政に今までなかったピースなんですね。社会学、政治学、経済学などとはちょっと違うアプローチでコミュニティ政策を研究する方が来てほしいと思っていたタイミングで、ご着任いただきました。前任の大学でゼミ生や現場の方々と活発に研究活動を進めてきた武者先生だからこそ、これから一緒にコミ政を盛り上げていきたいなと思います。

上林先生は一言で表すと、熱い方だと思います。確固たる信念を研究や教育活動に貫いていらっしゃるという印象があります。コミ政にいらっしゃる前からお名前は存じ上げておりましたが、やっぱり実際にお会いしてみると、芯がある方だなと思いました。学生たちに話を聞いても、上林先生の言葉が今の時代の学生にしっかり届いているという印象です。

武者先生:
権先生は、直接お話しする前は本当に怖い人だと思っていました(笑)。スマートな背格好が僕には大きく見えて、結構威圧感がある人だなっていうのが最初の印象でした。でも話してみると、180度印象が変わって安心しています。

上林先生は言葉にすごく力があるんですよね。南アフリカでの経験や国連のスピーチなどのエピソードを伺うと、我々が触れていない世界をずっと見てこられた。そうした裏打ちがあるから、こんなに言葉が強いんだと思っています。

原田峻先生は、単位時間あたりに発するテキスト量がむちゃくちゃ多いですよね(笑)。それなのに、聞く力もすごいですよね。緊張が強いられるような場面でも、峻先生とは心地よく話せて、こんな人はなかなかいないなと思っています。

どのようなテーマを研究していますか? また、他の3名の先生との共通点は何ですか?

上林先生:
私は、3人の先生方の学問の世界とはかなり異なった実務の世界を歩んできました。20代の頃は、南アフリカのアンチアパルトヘイト運動に関わる組織に属していて、30代、40代は公務員の労働組合で労働運動に取り組んでいました。今は非正規公務員をテーマに研究しています。お三方とは歩み方が違いますが、「まちづくり」という意味では見ている角度が違うだけで、根っこは共通しているのではないかと思っています。
権先生:
僕は大学院に入った頃は、公共の理論や思想を文献調査をメインに研究していました。知識を習得して理論や思想を構築する……。書斎で建築をやっていたイメージです。
長年そのスタイルで研究していましたが、あるとき大学でフィールド実習に学生を連れていくことになり、当時は半ば嫌々行ったんですが、知っている理論を通じてフィールドをいろいろ見てみると、「観察・調査が面白いな!」と思い始めたんです。それで廃校活用とかを観察・調査して「記述する」っていうことに興味が湧きました。
コミュニティ政策学科に来てからは、しばらくそういった観察・調査に取り組んでいたんですけど、次第に「今度は外に出て何かを作りたい、建築したい」と思うようになったんです。公園でイベントを作るとか、パブリックな場所で人のつながりを作るとか。今は、文系という制約の中で、具体的な“ことを建築”する「公共デザイン」を研究しています。

公共っていう観点でいえば、上林先生は政策的なアプローチで、僕はコミュニティ構築的なアプローチをしてるので、違う観点から同じ対象を見てるのかなと思っています。
同じ対象という点は、武者先生もそうですね。まちづくりで共通していて、まちの定義や考え方は多少異なるかもしれないけど研究対象はかなり一緒ですよね。実証的な側面は武者先生が強くて、先ほど武者先生が仰った「それが存在する理由」ということについては、僕が哲学や思想的側面から、武者先生が人文地理学という違うアプローチから考えてるのかなと思っています。
原田峻先生の研究対象は、僕と重なることはそんなに多くはないかもしれませんが、僕の専門の公共哲学や社会哲学って、社会学が一番隣接する学問だと思っているんですよ。ギデンズ(社会学者)の著書ももちろん読みますし、ベースになる学問が一番近いのが峻先生かなと思っています。
原田先生:
僕が社会学に興味を持つことになった原体験は、小学校高学年だった1995年にあります。その頃は阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件が起きて、小学生ながら日本社会の変動期を肌で感じました。高校生のときに社会学の本を読み、「社会」というものを学問的に読み解くことに関心を持ちました。大学生になって社会学を学ぶ中で、「地域社会」という切り口に注目するようになりました。その後、NPOなどに関心を持っていたとき、東日本大震災が起きて地元のさいたまスーパーアリーナが避難所になっていたことから、研究だけでなく現場に赴くようになり、そのご縁で震災から12年経った今も、宮城や福島に行っています。

権先生とは研究のバックグラウンドとして、住民運動論でつながっています。日本社会で「公共性」が大きく問い直されたトピックの一つが住民運動であり、僕も大学院生時代に住民運動を研究していたので、そこが権先生との接点だと思います。
武者先生とはアプローチは異なりますが、関心は近いところにあると思います。上からの都市計画・地域開発が問い直された時代以降のまちづくりについて、武者先生は地理学から、僕は社会学から、研究を進めてきたと思います。
上林先生ともアプローチは異なりますが、LGBTQやヘイトスピーチの問題など共通するテーマを私も授業で取り上げています。現代社会におけるさまざまな社会問題を扱うという点で、関心が近いなと感じます。
武者先生:
まちがどうつくられるのか、都市空間がどんな風につくられていくのかという関心は、大学院生の頃から変わっていません。ですが、対象としている事象はその頃とは違っています。研究当初は、近代的なまちが一体どういう力でつくられているかを研究していたんですが、それによってできたまちは、むしろ開発によって空洞化するような、魅力的ではない空間を生み出していることに気づきました。そこで、最近は都市計画をしないまちづくり、僕は「まちづかい」と言っているんですけど、そちらの方がうまくいっているということに気づいて、今はその現象について考えています。いろんなところで言っているのは、「良い計画が良い都市を生む」のではなくて、「良い日常が良い都市を生む」ということです。これは僕自身の研究のポリシーでもあり、まちをつくるときの実践的なポリシーでもあります。

権先生と僕の興味関心は似ていて、あまり近づかないように注意しながら研究してはいるところです(笑)。
原田峻先生とは全然違う分野なんですけど、世界中のどんな人でも、何人かを介するとつながる「スモールワールド現象」のように、峻先生と共通の知人の先生が僕と共同研究をしていたり、1人挟むとすぐつながるというか、実はすごい近いところにいらっしゃるんだなと思います。
上林先生の研究分野とは全く関わりがありませんが、本を読ませていただいて、重要なことを研究されているなっていうのは常に思っています。これまで僕は経済学部に在籍していて、周りはほとんど分野が近い人たちばっかりだったんですけど、この多様な感じがコミ福のいいところかなと思います。

先生同士で質問し合いたいことはありますか?

武者先生:
上林先生から「怒りが研究の原動力になる」というお話がありましたが、皆さんはどんなことが原動力になっていますか?僕も結構怒りが起点のような気もするんですよ。つまり、僕の場合は、長野県松本市でずっと研究していたんですけど、松本市は約300億円の公共投資をして街の真ん中を再開発したんですが、それが必ずしもよい空間になっていないというのが個人的な印象です。300億円かけてこんなものをつくってしまってどうするんだいう。

上林先生:
自分の研究の原動力になってるのは、やはり20代で出会ったアパルトヘイトですね。「肌が黒いというだけでなぜ差別されなければならないのか」ということに疑問を持ち始めました。実際、現地でアパルトヘイトを目撃したり、現地の仲間が殺されたり……、そういうリアルの中で生きてきました。そのようなさまざまな差別に対する怒りがエネルギーとなり、そこから自分の研究や過ごし方の根っこができてきたのだと思いますね。
権先生:
ちょっと誤解を生んでしまうかもしれないですが、僕はわりと日常の些細なことで怒ってしまうんですよ。例えば選挙の結果とか、車を運転して手前に割り込まれたり(笑)。でも、研究に没頭しているとなんだか心が落ち着いて、日常生活とは違うフェーズに行く感じがあるんです。研究は解決策を考えることでもあるので。自分が日常を送っている世界と学問・研究といった2つの世界を持っているのが嬉しいです。怒りというよりは、自分が追い求める理想や平和が原動力なのかな、って話しながら思いました。

原田先生:
今みたいに研究者同士で話していると、当初は予想しなかった論点が出てくるのが楽しいですよね。研究の原動力に関しては、僕も上林先生と武者先生の怒りというお話に近くて、社会への違和感が原点になっています。あとは僕の場合、社会の不条理に対して立ち上がる人々や集団への関心もあります。

最後に、ゼミで大切にしていることを教えてください!

上林先生:
ゼミで大切にしていることは出会いを作ることです。学生の皆さんって意外と狭い領域の中で生きていて、私は今のゼミ生より3倍生きている中でいろんな人たちと出会ってますから、その方たちに会ってもらってもいいかなと思っています。ゼミの合宿地もそれに合わせて選んでいます。濁りのない眼で話を聞いて、見つめ合って、いろんなものを学んでいくということを大事にしています。

権先生:
とにかく学生同士が仲良くなることです。僕がいなくても、「明日ゼミに行かないよ」って言ってもうまく回るようになることが目標です。それができればすごく嬉しいですね。内容のことでいえば、僕のように哲学や思想を研究している人間が、街という“テキスト”をフィールドワークするときにどのような方法論に依拠したり、フィードバックできるのかっていうのを一生懸命考えています。それをゼミ生と一緒に考えて、確立までいかなかったとしても紙媒体(論文や書籍)で自信を持って提示するのが夢ですね。もちろん学問的には僕のほうが学生たちよりもベテランだけれど、ゼミ生の若い感性は大切だと思っていて、いつも知恵を拝借しているところです。
原田先生:
自分で問いを立てることが大切だというのは、同感です。あとは僕のゼミでは、社会問題を自分ごととして捉え、考えるということを大事にしています。僕のゼミではこの数年、災害とコロナという2つのテーマに取り組んできたのですが、被災地に合宿に行ったり、コロナの影響を受けた子ども食堂に参加したりして、実際に現場に行くと学生の目が変わる瞬間があります。こうした経験が、学生のその後の学びにつながるので大切にしています。また、今年度のゼミでは2年生が「大学生まちづくりコンテスト(福島復興ステージ)」、3年生は防災がテーマの「埼玉県知事との意見交換会」に参加して、ゼミ生が成長する貴重な機会になったので、今後も同様の機会を提供していきたいです。さまざまな危機に対するコミュニティの意義や在り方を、今後もゼミのテーマにしていきたいと思っています。

武者先生:
一番大切にしていることは、自ら問いを立てられる力ですね。僕は、研究は「問いが7割」だと思っています。高校までは、当然問いは先生が立ててくれて、生徒はそれに答えるというのが基本だったわけですが、大学に入る意味の一つは、自分で問いを立てること、かつその答えが一つではないということに耐えられることですね。それを実感できることがゼミの目標の一つです。あとは、大学は人生で唯一遠回りができる時間だと思うので、できるだけ寄り道をしてもいいんだよということを実感することですね。見ず知らずの地域に入っていっていろいろな発見をする。そこに何か大切なものがポロッと落ちているかもしれないという実感を得るというのが、他のゼミと違いでしょうか。

(左側より)Y・H、O・H、A・Y、T ・Y

対談前の大学教授に対する印象は、黙々と一人で研究というようなものでしたが、対談を通して、それぞれの先生方が交わりながら、人と地域が抱える課題に向き合っていることが分かりました。この記事を通して、コミ福の学生が普段は見ることのできない、先生方の新しい一面や自分の興味・関心に気づき、少しでも心のアンテナが動くきっかけになることができれば嬉しいです。(Y・H)

今回の取材を通して、お互いの研究内容や著書に関して意見を交わしている様子から、コミュニティ政策学科の先生方のつながりの強さを改めて知ることができました。また、4人の先生方全員がとても話しやすく、取材中もついつい時間を忘れてしまいそうになりました。この記事を通して、コミュニティ福祉学部の良さや先生方の魅力をお伝えできれば幸いです。(O・H)

コミュニティ政策学科の先生方の意見をお聞きすることができたのは、福祉学科の学生としてとても新鮮でした。私はいつも対人援助という角度から福祉について考えていたのですが、今回の対談を通して政策という角度から改めて福祉について考えると、今まで見えてこなかったものが見えてきました。読者の方がこの記事を読んで、自分なりの角度から福祉について考える機会になればと思います。(A・Y)

私は今回の企画で対談の司会を務めました。その中で最もコミ福・コミ政らしさを感じたことは、先生同士の距離の近さです。“学際的”とよくいわれるコミ政ですが、先生方の研究分野は遠いようで実は近く、先生同士も実は仲が良かったり、先生と学科の新しい一面を垣間見れるインタビューだと思います。(T・Y)

企画・編集:コミュニティ福祉学部福祉学科4年次 A・Y、コミュニティ政策学科4年次 T・Y、コミュニティ政策学科3年次 Y・H、O・H
撮影:コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科3年次 O・H

お問い合わせ

コミュニティ福祉学部インターンシップ・キャリア支援室

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