支援者として、生活困窮者に関わっていきたい

コミュニティ福祉学研究科博士課程前期課程 柴谷涼さん

2026/03/25

大学院生・修了生

大学院に進学した理由を教えてください

私は、コミュニティ福祉学部出身で、学部3年次に社会福祉士の実習を「生活困窮者・ホームレス自立支援センター」で行いました。その際に、実際に路上生活者と話をしたり、彼らの生活の様子を見る中で、「外はこんなに暑かったり寒かったりするのに、なぜ外での生活を続けるのだろうか」という疑問を持ちました。それは、路上での生活を否定的に捉えたわけではなく、単純な疑問でした。実習での学びや、その後のゼミでの学習を通して、路上生活者が路上生活をやめて、アパートで生活することには、様々な困難があることがわかってきました。その中で、もっと路上生活者のことを知りたい、路上生活者が路上生活をやめるための支援施策について考えたい、と思い、大学院で研究することを決めました。実習クラスとゼミの担当だった後藤先生が、ホームレス支援の研究をされており、私の研究したいことに近いものだったので、コミュニティ福祉学研究科に内部進学することに決めました。

どのような研究を行っていますか。研究の面白さについて教えてください。

「長期路上生活から地域生活への主体的な移行を支える—『路上生活をやめる』きっかけとその実際—」という研究テーマのもと、修士論文を執筆しました。年々、路上生活者の平均年齢は高齢化しており、路上生活の期間も長期化しています。路上生活者が、路上生活をやめて、地域で生活するとなると、多くの場合は生活保護を利用することになりますが、実際には、利用の申請時に窓口で水際作戦にあったり、生活保護が適用になっても、施設での支援が優先され、集団生活を強いられるなど、路上生活者が望まない対応がされることが多くあります。このような状況のなかで、路上生活者が「路上生活をやめて、地域で生活していく」という気持ちを持った際に、それをサポートする支援施策や支援者に求める関わりを、先行研究から検討したり、実際に路上生活者の方と、元路上生活者の方へのインタビュー調査を通して明らかにしました。

ホームレス支援に関する先行研究を読み込み、検討しながら、フィールドワークで実際にホームレス支援の団体に身を置いたり、路上生活者の方と話したりすると、先行研究と実態にズレを感じたり、先行研究を鵜呑みにせずに、自分で考えを持って批判的に捉えることができるようになりました。こうしたところに研究の面白さを感じます。

大学院生としての生活について教えてください。

大学院1年次と2年次では、生活のスタイルが全く異なっていたと感じます。1年次は、授業を履修したり、先行研究を探して読み込んだり、研究の方法を身に付けたりと、自分で論文を書くための基礎固めの期間でした。私は、他の研究科の授業も履修し、様々な領域から自分の研究を捉えなおしたり、調査の方法を学んだりしました。1年次の後半からは、ホームレス支援を行っている団体に、ボランティアとして通いはじめました。2年次は、ひたすら自分の研究を進めることに集中しました。論文を執筆しながら、週に2~3日はフィールドに通い、路上生活者の実態を確認するとともに、インタビュー調査のために、私のことを覚えてもらったり、おしゃべりを通して関係性を作ったりしました。最後の半年は、追い込みの期間で、インタビュー調査の結果を分析したり、考察の執筆を行いました。

コミュニティ福祉学研究科の特徴や魅力を教えてください。

コミュニティ福祉学研究科では、ソーシャルワーク研究とコミュニティ政策研究の2つの領域がありますが、どちらの領域を選択しても一緒に学びます。院生それぞれ、興味や関心のある領域や分野は違えど、根底にはコミュニティ福祉学の考えがあるので、院生同士で、自身の研究について語り合ったり、情報交換をしたりすることで、自分の研究を多角的に捉えることができます。もちろん、先生方も、幅広く多様な研究をされている方々なので、自分の研究において、自分では気が付かなかった点を指摘してくださったり、助言をいただくことで、自分の論文の完成度が高まったり、より考えが深まったりしました。

最後に、大学院の勉強を将来どのように活かしたいと思いますか。

私は、修士課程を修了後、生活困窮者支援の施設を多数運営している社会福祉法人に就職します。そこでは、研究を通して蓄積した生活困窮者支援に関する知識や、フィールドワークを通して培ったコミュニケーション能力、2年間の研究生活の中で身に付けた1つの疑問を突き詰めて考える力を活かして、支援者として、生活困窮者支援に関わっていきたいと思います。
また、すぐにではないですが、将来博士課程後期課程に進学したいと考えています。修士論文を執筆するなかで、新たに生まれた問いや、関心も多くあります。また、就職先では、私の研究内容や関心に近いことをするため、働く中でももっと深く考えたいと思うことが出てくるかもしれません。
※インタビュー当時の情報です。

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