2023/11/13 (MON)

前田一歩助教が「第1回日本社会学理論学会奨励賞」を受賞

OBJECTIVE.

コミュニティ政策学科の前田一歩助教が、9月2日、3日に実施された「日本社会学理論学会 第18回大会」で奨励賞を受賞しました。

【受賞報告】
    前田一歩(立教大学)「野宿者問題に対峙する戦前期東京の都市公園——『市民』を育てる公園管理思想」

【講評】
    本報告は、東京の公園行政の中心にいた井下清の公園管理思想を読み解くことで、戦前期の東京における公園・市民・野宿者の三者関係に新しい光を当てるものである。この読解はまた、今日の都市空間における野宿者の排除を考える上でも大きな手がかりを与える。行政と思想との関わり合いを社会学的な理論を踏まえて丁寧に読み取っている点、都市における公共性について社会学理論と形容するにふさわしい知見を提示している点において、本報告は奨励賞にふさわしいものと判断した。
受賞コメント コミュニティ政策学科 前田一歩助教
この度は、記念すべき「第1回 日本社会学理論学会奨励賞」に選出していただきたいへん光栄に思います。
本報告は、1920-30年代東京の公園行政が野宿者(ホームレス)問題とどのように関わったのかを検討することで、野宿者を公園利用から排除しつつ、同時に公園以外の都市空間から追い出された野宿者の調査・支援を行うという、都市公園の両義的性格の起源を解き明かそうとするものです。したがって、今日においてもなお、野宿者の排除と包摂が同時にみられる公園問題を考えるうえでも示唆があります。
都市公園の野宿者問題の源流を解き明かそうとする本報告は、これまで私が取り組んできた都市公園の政策史についての研究をコミュニティ福祉学部のなかで発展させるために選んだテーマでした。都市公園を扱う授業や実習における学生のみなさんとの対話のなかで、少しずつ温めていた研究がこのように評価され、たいへん嬉しく思います。本報告の内容を、論文や書籍の一部としてみなさんにお披露目できるように、よりいっそう精進したいと思います。

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