教員インタビュー

長倉 真寿美教授(高齢者福祉、コミュニティケア)

2023/04/01

OVERVIEW

ソーシャルワーク研究をしている長倉 真寿美教授にインタビューをしました。

研究内容

高齢者を在宅でケアするためのフォーマル・インフォーマルサービス、認知症高齢者のケア環境整備、介護保険サービスの利用水準における市区町村間格差など、高齢者介護に関わる問題について研究を行ってきました。現在は、高齢者が住み慣れた家庭や地域で生活することを可能にする地域ケアシステムの構造やサービス付き高齢者向け住宅のあり方をテーマに研究を進めています。高齢者福祉の領域で研究をしようと思ったきっかけは、親族の介護問題でした。年をとるのは自然なことです。しかし何故高齢になり介護が必要になると、本人や家族の心身の負担等、不幸せなことが起こるのか、それを解決する方法について探求したいと思いました。その意思を今に至るまで持ち続け、研究を続けています。

本格的に高齢者福祉、調査・研究の手法を学び始めたのは、アメリカWashington UniversityのGeorge Warren Brown School of Social Work(博士前期課程)でした。老年学、ソーシャルワーク、調査・研究方法の基礎的学びから、ソーシャルワークの実践的手法までを系統的に学び、帰国後、13年間シンクタンクで主に高齢者福祉に関する調査研究を行い、その後大学の教員になり約20年が経ちましたが、アメリカで得た知識と技術が今も生かされていると思います。

主な業績は以下の通りです。

  • 著書:(共著)「少子高齢社会と市町村福祉行政のあり方」『比較政治学のフロンティア』、2015年、ミネルヴァ書房
  • 論文:(単著)「地域居住におけるサービス付き高齢者向け住宅の可能性と課題 -日英の事例からの検討」『立教大学コミュニティ福祉学部紀要第21号』、2019年
  • (単著)「居宅4サービス利用指数の保険者間格差と居宅4サービス利用指数『高』及び3施設+居住系サービス利用指数『低』の保険者の地域ケアシステムの特徴」『コミュニティ福祉研究所紀要第5号』、2017年

研究指導

大学院の担当科目では、高齢者や家族を支援するにあたって、どのようにケアマネジメントしていくかを中心に指導しています。ソーシャルワークの分野の研究や実践では、ケアマネジメントのプロセスを十分に理解しておく必要があるため、事例を使って分かりやすく説明し、大学院生の研究テーマに適用できるようにします。また、論文指導は、本人が明らかにしたいこと、発想を大事にしながら、研究の手法やフィジビリティーなども考慮し、社会に役立つ有用性のあるものにするように丁寧に議論を積み重ねています。

実践的な取り組み

介護保険サービスの利用水準における市区町村格差のように、地域によって様々な格差があります。そこで、出来るだけ多くの市区町村を訪問し、フィールド調査をするようにしています。シンクタンク在籍時、大学教員になってからの計30年近く、行ってない県はないぐらい多くの地域で調査をしてきました。実際にフィールド調査をしてみると、データだけからは分からない事実を発見することがあり、それが研究をする上での醍醐味にもなっています。また、これまで研究してきた成果を高齢者介護の充実、高齢者にとって住みよい街づくり、高齢者や家族を支える施設への支援という形で社会に還元するため、豊島区介護保険事業計画推進会議委員、豊島区都市計画審議会委員、江東区地域福祉計画策定委員会委員長、江東区社会福祉協議会地域福祉活動計画策定・推進委員会委員長、社会福祉法人至誠学舎立川評議員等に携わっています。大学院生を指導する上でも、これらの役割を果たすことで得た知見を役立てています。

受験生へのメッセージ

社会福祉に関する問題で、疑問や矛盾を感じていることがあれば、自らの力で探求してみませんか。その過程はたやすいものではありませんが、事実を発見する喜びがその先にはあります。また人生を生きる上での大きな自信にもつながります。大学院というドアを開けてみませんか。

※インタビュー当時の情報です。

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