メンタルヘルスの視点から人と社会と福祉のあり方を共に考え、学びましょう。
福祉学科 山田恵子助教(スクールソーシャルワーク、教育福祉研究、子ども学)
2023/07/25
教員
研究内容
子どもの権利を基盤とする子ども支援に関する研究、および、スクールソーシャルワークをはじめとして教育と福祉が重なる教育福祉問題を研究しています。
子育て中に大学で学んでいたことで、おのずと子育て・子育ちについての関心が深まり、卒業論文では児童虐待と子育て文化に関する研究をまとめ、学部卒業と同時に児童相談所の職員になりました。児童相談所で勤務する中で、福祉における学習権保障の必要、子どもが人生を主体的に豊かに送るためには福祉とともに教育が重要であることを実感しました。その後実践の場を教育機関である学校に移し、スクールソーシャルワーカーとして、教育における生存権保障に取り組んできました。人が生きるということ、人をささえるということ、その人自身が持っている力を如何に引き出し強めていくのかなど、実践現場に身を置くなかで立ち上がって来た問いへの答えを探求し続けています。
現在、「教育福祉」領域とされる問題も、教育学と福祉学という二分野だけでなく文化論を含め、「教育福祉文化」として探求しているところです。以下で主要研究業績に挙げた『スクールソーシャルワークの実践と理論—養育困難家庭の不登校児の学習権保障をめぐって』では、スクールソーシャルワークの始まりとされている訪問教師活動が、子どもの生活を文化的にしようとするセツルメントのセツラーによる家庭訪問活動や学校訪問活動と似ていることを述べました。また、これまで主に福祉と教育で捉えられてきた児童虐待や長期不登校などの課題を、子どもの文化問題の中で取り上げる必要があることを述べています。
子育て中に大学で学んでいたことで、おのずと子育て・子育ちについての関心が深まり、卒業論文では児童虐待と子育て文化に関する研究をまとめ、学部卒業と同時に児童相談所の職員になりました。児童相談所で勤務する中で、福祉における学習権保障の必要、子どもが人生を主体的に豊かに送るためには福祉とともに教育が重要であることを実感しました。その後実践の場を教育機関である学校に移し、スクールソーシャルワーカーとして、教育における生存権保障に取り組んできました。人が生きるということ、人をささえるということ、その人自身が持っている力を如何に引き出し強めていくのかなど、実践現場に身を置くなかで立ち上がって来た問いへの答えを探求し続けています。
現在、「教育福祉」領域とされる問題も、教育学と福祉学という二分野だけでなく文化論を含め、「教育福祉文化」として探求しているところです。以下で主要研究業績に挙げた『スクールソーシャルワークの実践と理論—養育困難家庭の不登校児の学習権保障をめぐって』では、スクールソーシャルワークの始まりとされている訪問教師活動が、子どもの生活を文化的にしようとするセツルメントのセツラーによる家庭訪問活動や学校訪問活動と似ていることを述べました。また、これまで主に福祉と教育で捉えられてきた児童虐待や長期不登校などの課題を、子どもの文化問題の中で取り上げる必要があることを述べています。
子ども支援を中心とするスクールソーシャルワークでは、教育学と社会福祉学だけではなく、子どもの成長と発達に影響を与える諸科学の研究が必要となります。そうした諸科学のなかでも特に子どもの全体をおおっている生活文化に注目し、子どもの文化論の視点を取り入れた研究をすることは、教育学と社会福祉学につなぐ研究として意義があると考えているところです。
主な研究業績は以下の通りです。
主な研究業績は以下の通りです。
- 「鈴木道太の実践理論における概念の変遷-子どもの『生活』に切り結んで」『早稲田教育学研究』第14号、53~67頁、早稲田大学、2023年。
- 『スクールソーシャルワークの実践と理論—養育困難家庭の不登校児の学習権保障をめぐって』、明誠書林、2022年。
学部での教育活動
主に、基礎演習や国家資格である社会福祉士の養成に関連する演習科目と、家族福祉に関する講義科目を担当しています。
学部教育、学部生指導において心がけていることとして、学生のみなさんが学際的に学ぶということを意識しています。私の専門であるスクールソーシャルワークは教育機関である学校を拠点とする福祉実践ですが、実践において学校の教職員が最も重要なパートナーとなります。スクールソーシャルワーカーを目指す学生にとって教育や心理を理解できること、教育職や心理職を目指す学生にとって福祉を理解できることは、双方の学生にとって大きな利点であると考えます。総合大学だからこそ可能な学部・学科を超えた学びにより、学生が自らの専門領域にかかわるフィールドを広げ、より主体的に学び、自己教育をしながら、自らの生きる道を拓いていくことに寄与できたらと考えています。
学部教育、学部生指導において心がけていることとして、学生のみなさんが学際的に学ぶということを意識しています。私の専門であるスクールソーシャルワークは教育機関である学校を拠点とする福祉実践ですが、実践において学校の教職員が最も重要なパートナーとなります。スクールソーシャルワーカーを目指す学生にとって教育や心理を理解できること、教育職や心理職を目指す学生にとって福祉を理解できることは、双方の学生にとって大きな利点であると考えます。総合大学だからこそ可能な学部・学科を超えた学びにより、学生が自らの専門領域にかかわるフィールドを広げ、より主体的に学び、自己教育をしながら、自らの生きる道を拓いていくことに寄与できたらと考えています。
実践的な取り組み
これまで、実践を通して立ち上がってくる問いへの答えを探求するため、現場と大学院を何度も行き来し、常に実践と理論を循環的に考えようとしてきました。実践現場においてかかわり合った子どもや保護者、社会活動を共にした地域の人々らが、ソーシャルワーカーとしての私を成長させてくれ、大学院でお世話になった先生方や先輩たちには、私を研究者として鍛えて頂きました。みなさんにも、大学での学びと大学の外での学びを行き来しつつ、理論と実践を結びつけていけるよう、また、みなさん自身が課題を見つけ、対話を通して課題解決の方法を探ることを大切にして頂きたいと思います。
受験生へのメッセージ
人は学ぶことで人生を変えるということを、自身の歩みの中で実感しています。私は子どもの頃、経済的理由から大学進学をあきらめました。しかし、いつか大学で学ぼうと考え、大学の二部で学び始めたのが40代を目前にした頃でした。大学で出会った福祉の科目は、人が生きることそのものの学びであり、自身の人生に重ねて考えながら熱心に取り組むことができたと思います。学部4年生で社会福祉士国家試験を受験、資格を取得し、卒業と同時に児童相談所の職員となり、実践のなかで立ち上がった問いを探求するために大学院で学んだことが、その後スクールソーシャルワーカーとなり、スクールソーシャルワーク研究をしていくことにつながっています。
嫁ぎ先の舅姑の介護は嫁である私が引き受けることに何の疑問も持っていませんでしたが、大学でさまざまな学問と多様な人物に出会ったことで価値観や生き方を変えることになり、ごく普通の家庭主婦が大学の教員になりました。立教大学での4年間が、みなさんにとって人生を豊かにする知と人との出会いになること、生涯を通した自己教育の端緒になることを願っています。
嫁ぎ先の舅姑の介護は嫁である私が引き受けることに何の疑問も持っていませんでしたが、大学でさまざまな学問と多様な人物に出会ったことで価値観や生き方を変えることになり、ごく普通の家庭主婦が大学の教員になりました。立教大学での4年間が、みなさんにとって人生を豊かにする知と人との出会いになること、生涯を通した自己教育の端緒になることを願っています。
※インタビュー当時の情報です。