映像作品を通して「子どもの貧困」に関心を持ってもらいたい

福祉学科 神田幸奈さん

2024/03/26

在学生・卒業生

OVERVIEW

卒業研究作品として「映像資料の活用による「子どもの貧困」の解決に向けて~フードバンクの活動から~」と題した映像作品を制作した福祉学科の神田幸奈さんにインタビューしました。

卒業研究に映像制作を選んだ理由を教えてください。

私が卒業研究で映像作品を制作したのは、子どもの貧困問題の解決のために、その現状を社会に分かりやすく伝えるためです。日本の子どもの相対的貧困率は比較的高いのですが、そうした現状があることは一般に広く知られているとはいいがたいと感じています。
現在、政府によって貧困削減のための様々な施策が行われていますが、それらの施策が功を奏すかは、この問題に関心がない、または知ろうとしない人々の興味関心をいかに育むかが重要だと考えています。

ゼミ合宿で訪れた「フードバンク岩手」

元々子どもと関わることが好きで、福祉学科に進学した当初は児童福祉に関心がありました。
3年生の時、母子生活支援施設に実習に行き、そこで生活する人の生活課題の根底に「貧困問題」があると感じました。
私たちにできる子どもの貧困問題へのアプローチは、こども食堂・学習支援、他にも色々とあります。ですが、参加のハードルが高いことがネックだと感じていました。3年次に履修した相談援助演習でのゼミ合宿で「フードバンク岩手」を訪れ、活動されている方の想いや、活動方法に興味を持つとともに、活動への参加のしやすさに魅力を覚えました。また、実習先で感じていた貧困問題とリンクして考えるようになりました。
私自身、ゼミでこのテーマを扱うまで、フードバンクの活動をよく知りませんでした。私と同じように、フードバンクという言葉は知っていても、深く知らない人はいると思います。そのような人が活動を知ることで新たな観点を持ち、行動を起こすきっかけにしてほしいと思いました。また、フードバンク活動は社会全体に開くことで成り立つ活動であり、社会に貧困問題を提唱するのに最適です。そして、この活動を視覚的な映像教材というわかりやすい媒体によって広めることで、子どもの貧困問題の解決に繋がると考えました。
ボランティアに来てくださいと言うとハードルが高いかもしれませんが、食品をフードポスト等へ寄付するフードバンクの活動は、誰でも簡単に参加できます。企業からの大口の寄付ももちろん効果的ですが、多くの一般の方々が心の片隅にフードバンクの活動を思い浮かべるようになり、少しずつ寄付を持ち寄るような社会になれば、食品ロスを減らすことにも繋がると思います。
またお預かりした食品を届けることで、繋がりをつくるきっかけになり、受け取る側と社会の関係性が育まれることもこの活動の大きなメリットです。

動画制作で苦労した点を教えてください。

動画制作では伝えたいことを詰め込みたくなり、研究のゴールを見失うことがありました。しかし、後藤先生が何度も相談にのってくださり、「一番伝えたいことは何なのか?あなたはそれをどう表現したいのか?」と、最初の志を忘れないよう、アドバイスをしてもらいました。
またゼミの仲間からもアイデアをもらい、この作品のゴールが「子どもの貧困問題に関心を持ってもらい、なにかしらの行動を起こしてもらうこと」だとの想いを再確認できました。
ナレーションやキャプションは大事なところだけにし、たくさんの「引き算」をして完成させました。
映像では、食品をポストに寄付するところから、子どもたちに届くところまでを見てもらいたいと思い、「イントロダクション(1部)」「フードバンクで行われている取り組み紹介と地域で行われている活動(2部)」「エンディング(3部)」の3部構成にしました。
1部では、日本における子どもの貧困問題の現状に関しての理解を促すとともに、研究のテーマである「食」を通じた支援の必要性を伝えています。ここは、3つのパートで構成されており、1つ目に日本の貧困状況について数字で理解できるパート、2つ目に日本における貧困状態がどのような場合を示すのかを理解できるパート、3つ目に1つ目と2つ目を用いて、視聴者ができることを自発的に考えさせるパートになっています。自分で描いたイラストを用いて視覚的に印象に残るように表しました。
2部では、フードポストを通じて地域の子どもに食料が提供されるまでの過程を、実際にフードバンクや子ども食堂にて撮影した映像を用いて表しました。フードバンク岩手では、農家、企業、市民から、何らかの理由で食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食品を寄附として受付、それを行政や社会福祉協議会を通じて生活に困っている人へ渡しています。その一連の過程を簡略的に表して説明しました。子どもたちの笑顔も撮影し、映像を見る方が、活動に参加したいと思えるような展開にしました。
3部では、子どもの貧困問題の解決に向けて、福祉に関心を持ち始めたばかりの人にできることは何か考えてもらえるようにしました。具体的には、自身に何ができるかを検索している様子を表しました。

福祉学科で過ごした4年間はどうでしたか。

担当教員の後藤先生と

大学に入学した年は、コロナ禍の影響で思い描いていた大学生活とは程遠いものでした。
ですが、そのような時だからこそ子どもと関わる様々なボランティアやアルバイトに参加するきっかけになりました。体育会陸上競技部に長距離女子パートとして入部し、4年生の今年、創部史上初の富士山女子駅伝(全日本大学女子選抜駅伝)の出場を決めることができました。
また、教員免許や社会福祉士の資格取得に向けた実習、卒業研究での動画制作等、やりたいと思ったことに挑戦し、充実した大学生活を送ることができました。
様々なことにチャレンジした分、優先順位をつけるのが難しく、先生方をヒヤヒヤさせてしまったこともあったと思います。それでも私に環境を整え、成長させてくださった学部・先生方・仲間に心から感謝しています。
コミュニティ福祉学部福祉学科で過ごした4年間は本当に楽しく、かけがえのない宝物の時間です!福祉学科の卒業生であることに誇りをもって卒業後も頑張ります。
※インタビュー当時の情報です。

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