さまざまな出会いを通して「いのちの尊厳のために」という学部の基本理念を探求していってください
福祉学科 志村久仁子助教(生活保護実践、生活困窮者支援)
2026/07/10
教員
研究内容
これまでの学びの歩みを振り返ると、大きく①生活保護や生活困窮者支援などの貧困・低所得問題、②ハンセン病問題、それらとも関連する③質的分析の学びに取り組んできました。
①生活保護や生活困窮者支援などの貧困・低所得問題の学び
大学3年時のゼミの先生が、生活保護を専門としておられました。福祉事務所で働く先輩方との勉強会に参加させていただいたり、卒業生が活躍している福祉事務所で福祉実習を行うことができ、生活保護利用者の家庭訪問などさまざまな体験をさせていただいたりしました。そこで生活保護を利用している方々に対する厳しい社会のまなざしや、専門性がなかなか担保されにくい生活保護担当職員の状況、生活保護実践にケースワークが必要かどうかといった議論に触れ、考えるようになりました。そうして今日まで、生活保護実践のよりよいあり方について学ぶことが続いています。
また、私の学びにとり大きな拠り所の一つに、ホームレス状態を経て生活保護を利用しアパート暮らしを始めた方々の孤立・孤独を防ぐ目的で始められた、支え合いのボランティアグループがあげられます。ここでの活動を通して、彼らの過酷な生い立ちとともに、障害や病気や生きづらさを抱えながらも自分らしい暮らしを続け、その人なりのあたたかな気持ちを届け続けてくださる姿に、かけがえのない学びをいただきました。2007年にホームレス女性が役所の敷地内で職員たちに囲まれる中で亡くなった事件は、私自身が当事者として渦中に放り込まれました。行政担当者、法律家、支援者、ボランティア、仲間のおじさん・おじいさんたちと、いろいろなやりとりを重ねました。
生活保護を巡っては、2004年に生活保護の自立の考え方が3つに整理され、「自立支援プログラム」の導入が提言されるに至り、2013年には「生活困窮者自立支援法」が成立するなどし、貧困・低所得者施策は大きな変化を迎えました。けれども、生活保護担当職員や利用者を取り巻く状況はとても厳しいものがあります。そうした現場の状況理解を深め、そのうえで一歩ずつ歩みを進めていくために、現場の方々に学ぶ姿勢を大切にしたいと考えています。近年は研究チームで取り組みを進めており、生活保護担当職員を対象とする自主研究会を行い、その分析をしたりしています。
生活困窮者支援は2015年から実際にスタートした制度ですが、研修に携わらせていただく機会などを通じて、制度創設の背景をふまえ、理念や基本的な考え方を理解し、その実現に向けて主体的に取り組む支援者が増えるよう、取り組んでいます。
②ハンセン病問題の学び
貧困問題に携わっていると、人としての尊厳について常に考えざるを得なくなります。その過程で興味関心を持ったのがハンセン病問題でした。ハンセン病療養所のソーシャルワーカーの配置や存在について取り組んだり、ハンセン病当事者の手記等を通じてライフヒストリーに学んだりしてきました。
全国14か所の療養所入所者数は582名(2025年11月現在)にまで減少し、平均年齢は90歳近くになっています。ハンセン病問題から学び続けていくことを忘れない社会でありたいと考えています。
③①②とも関連する質的分析法の学び
これらとも関連するのですが、さまざまな学びの機会をいただくうちに、研究目的や収集したデータの分析にとってより適切と思われる質的分析法についても意識するようになりました。
ハンセン病問題については、TEM(複線径路・等至性モデル)を用いて分析を試みたりしました。生活保護に関しては、それまでもインタビューに基づく分析などはしていましたが、質的分析法の学びが十分ではない自覚がありました。そこで保育現場に関わらせていただいた際に、B.グレーザーによるグラウンデッド・セオリーやその重要な一部でもある継続的比較分析法に取り組みました。その後は、生活保護の調査研究においても継続的比較分析による質的分析を行うほか、計量テキスト分析を用いてその解釈を試みるなど、質的データ分析の奥深さと豊かさ、おもしろさに触れさせていただいています。
①生活保護や生活困窮者支援などの貧困・低所得問題の学び
大学3年時のゼミの先生が、生活保護を専門としておられました。福祉事務所で働く先輩方との勉強会に参加させていただいたり、卒業生が活躍している福祉事務所で福祉実習を行うことができ、生活保護利用者の家庭訪問などさまざまな体験をさせていただいたりしました。そこで生活保護を利用している方々に対する厳しい社会のまなざしや、専門性がなかなか担保されにくい生活保護担当職員の状況、生活保護実践にケースワークが必要かどうかといった議論に触れ、考えるようになりました。そうして今日まで、生活保護実践のよりよいあり方について学ぶことが続いています。
また、私の学びにとり大きな拠り所の一つに、ホームレス状態を経て生活保護を利用しアパート暮らしを始めた方々の孤立・孤独を防ぐ目的で始められた、支え合いのボランティアグループがあげられます。ここでの活動を通して、彼らの過酷な生い立ちとともに、障害や病気や生きづらさを抱えながらも自分らしい暮らしを続け、その人なりのあたたかな気持ちを届け続けてくださる姿に、かけがえのない学びをいただきました。2007年にホームレス女性が役所の敷地内で職員たちに囲まれる中で亡くなった事件は、私自身が当事者として渦中に放り込まれました。行政担当者、法律家、支援者、ボランティア、仲間のおじさん・おじいさんたちと、いろいろなやりとりを重ねました。
生活保護を巡っては、2004年に生活保護の自立の考え方が3つに整理され、「自立支援プログラム」の導入が提言されるに至り、2013年には「生活困窮者自立支援法」が成立するなどし、貧困・低所得者施策は大きな変化を迎えました。けれども、生活保護担当職員や利用者を取り巻く状況はとても厳しいものがあります。そうした現場の状況理解を深め、そのうえで一歩ずつ歩みを進めていくために、現場の方々に学ぶ姿勢を大切にしたいと考えています。近年は研究チームで取り組みを進めており、生活保護担当職員を対象とする自主研究会を行い、その分析をしたりしています。
生活困窮者支援は2015年から実際にスタートした制度ですが、研修に携わらせていただく機会などを通じて、制度創設の背景をふまえ、理念や基本的な考え方を理解し、その実現に向けて主体的に取り組む支援者が増えるよう、取り組んでいます。
②ハンセン病問題の学び
貧困問題に携わっていると、人としての尊厳について常に考えざるを得なくなります。その過程で興味関心を持ったのがハンセン病問題でした。ハンセン病療養所のソーシャルワーカーの配置や存在について取り組んだり、ハンセン病当事者の手記等を通じてライフヒストリーに学んだりしてきました。
全国14か所の療養所入所者数は582名(2025年11月現在)にまで減少し、平均年齢は90歳近くになっています。ハンセン病問題から学び続けていくことを忘れない社会でありたいと考えています。
③①②とも関連する質的分析法の学び
これらとも関連するのですが、さまざまな学びの機会をいただくうちに、研究目的や収集したデータの分析にとってより適切と思われる質的分析法についても意識するようになりました。
ハンセン病問題については、TEM(複線径路・等至性モデル)を用いて分析を試みたりしました。生活保護に関しては、それまでもインタビューに基づく分析などはしていましたが、質的分析法の学びが十分ではない自覚がありました。そこで保育現場に関わらせていただいた際に、B.グレーザーによるグラウンデッド・セオリーやその重要な一部でもある継続的比較分析法に取り組みました。その後は、生活保護の調査研究においても継続的比較分析による質的分析を行うほか、計量テキスト分析を用いてその解釈を試みるなど、質的データ分析の奥深さと豊かさ、おもしろさに触れさせていただいています。
研究業績
- 志村久仁子・吉羽弘明・新保美香「生活保護申請における相談対応の現状と課題-民間支援団体の視点からの考察—」明治学院大学社会学部付属研究所『研究所年報』54号、2024年2月
- 志村久仁子「社会福祉法人における新たな方針の実践に関する一考察-児童福祉施設のミドルリーダーの役割に着目して—」(明治学院大学社会学部付属研究所『研究所年報』53号、2023年2月
- 志村久仁子「ハンセン病回復者のライフヒストリーに関する研究—女性回復者の人生径路から—」(明治学院大学社会学部付属研究所『研究所年報』50号、2020年3月
学部での教育活動
実習助教の一人として、主に社会福祉士の受験資格取得にかかる実習関連科目や実習に関する業務を担当させていただいています。演習系の科目ではできるだけ、学生たちに考えてもらったり、話し合ってもらったりする機会を多く設けるよう心がけています。学生に委ね自分たちで学び合ってもらうことで、多様性を尊重しながら柔軟な思考や表現力を育んでもらえるように感じています。
実習関連科目は、実習の事前段階での準備から、実習、さらに事後の振り返りや意味づけまで、継続した取り組みが求められます。そのプロセスを経るなかで、学生は人や組織、社会に関わる多様なことがらに向き合い、今日ますます必要性が増している連携や協働につながる姿勢やスキルを学ぶ機会にもなっているように思います。
また、講義系科目として「ソーシャルワークの理論と方法4」を担当させていただいています。この科目はファシリテーションやソーシャル・マーケティングをはじめとする、ソーシャルワークに関連するさまざまな技法も取り上げます。
実習関連科目は、実習の事前段階での準備から、実習、さらに事後の振り返りや意味づけまで、継続した取り組みが求められます。そのプロセスを経るなかで、学生は人や組織、社会に関わる多様なことがらに向き合い、今日ますます必要性が増している連携や協働につながる姿勢やスキルを学ぶ機会にもなっているように思います。
また、講義系科目として「ソーシャルワークの理論と方法4」を担当させていただいています。この科目はファシリテーションやソーシャル・マーケティングをはじめとする、ソーシャルワークに関連するさまざまな技法も取り上げます。
受験生へのメッセージ
今日の福祉現場は、福祉を専門に学んだ人はむしろ少数だったり、さまざまな経歴をもつ方々や多様なルーツをもつ方々が働いたりしています。一方、福祉以外の職場で出会う人や、私たちが地域住民の一人として出会う人は、福祉が対象とする方々でもあります。このように考えると、どのような組織で働く場合でも、あるいは市民の一人として生活する場合でも、福祉学科の学びはこれからの人生においてとても力となるものだと考えることができます。
ぜひ福祉学科でさまざまな人やできごととの出会いを重ね、楽しみながら学んでいただけたらと願っています。
ぜひ福祉学科でさまざまな人やできごととの出会いを重ね、楽しみながら学んでいただけたらと願っています。
※インタビュー当時の情報です。